映画「間違えられた男」ヒッチコック唯一の実話!
2017.01.29.18:00
ヒッチコック監督が「実話に基づいた映画」を撮ったのは、この「間違えられた男」が最初で最後でした。
ヒッチコック監督自身がみずからカメオ出演しなかった作品も、この映画1本だけです。
もっとも映画の冒頭、彼は逆光のなかにたたずみ、「これは、私の映画のなかでは異色の作品です」と観客に語りかけます。
ところがです、この「間違えられた男」は、ドキュメンタリーよりも寓話の匂いをつよく漂わせています。
黒白の簡潔な構図や時間の直線的な処理はドキュメンタリーのようですが、見終えるとなぜか、脂の乗った物語を聞かされたような後味が残ります。
主人公は、ニューヨークのナイトクラブで働いている堅物のベース奏者マニー(ヘンリー・フォンダ)です。
彼は派手なクラブで黙々と演奏し、仕事が終わると毎朝定時に帰宅するのです。
そんなマニーがある日、強盗犯に間違われて逮捕されます。
顔や様子がそっくりだといった証言が相次いだのが逮捕の原因。
幼いころから警察が大嫌いだったといわれるヒッチコック監督は、逮捕、取り調べ、留置、拘留といったありきたりの手順を、平板でいながら妙な執拗さをにじませたタッチで作り上げました。
善良な羊を演じるヘンリー・フォンダの人相がどこか邪悪で陰険な気配を放つのも、話の色合いを濃くしています。
さらに、随所で用いられるフェイドアウトの技法は、「・・・・。」で終わる文章のような効果をもたらします。
ヒッチコック監督は、この映画でまた違った才能を覗かせています。
1956年の映画です。
ヒッチコック監督自身がみずからカメオ出演しなかった作品も、この映画1本だけです。
もっとも映画の冒頭、彼は逆光のなかにたたずみ、「これは、私の映画のなかでは異色の作品です」と観客に語りかけます。
【平板に見えて執拗なタッチ】
ところがです、この「間違えられた男」は、ドキュメンタリーよりも寓話の匂いをつよく漂わせています。
黒白の簡潔な構図や時間の直線的な処理はドキュメンタリーのようですが、見終えるとなぜか、脂の乗った物語を聞かされたような後味が残ります。
主人公は、ニューヨークのナイトクラブで働いている堅物のベース奏者マニー(ヘンリー・フォンダ)です。
彼は派手なクラブで黙々と演奏し、仕事が終わると毎朝定時に帰宅するのです。
そんなマニーがある日、強盗犯に間違われて逮捕されます。
顔や様子がそっくりだといった証言が相次いだのが逮捕の原因。
幼いころから警察が大嫌いだったといわれるヒッチコック監督は、逮捕、取り調べ、留置、拘留といったありきたりの手順を、平板でいながら妙な執拗さをにじませたタッチで作り上げました。
善良な羊を演じるヘンリー・フォンダの人相がどこか邪悪で陰険な気配を放つのも、話の色合いを濃くしています。
さらに、随所で用いられるフェイドアウトの技法は、「・・・・。」で終わる文章のような効果をもたらします。
ヒッチコック監督は、この映画でまた違った才能を覗かせています。
1956年の映画です。
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